「2015年6月28日未明、五条堀川のお好み焼き店【大とら】で客の男性が86歳の経営者女性を鈍器のようなもので殴り大ケガをさせた上、飲食代金を払わず逃走した」
京都の有名店で起こった強盗傷害事件。以来、何の情報もないまま店舗は休業状態。店主の年齢を考えるともう再開はないか…と思っていたら、2年ぶりに店舗に灯りを確認!!
ということで京都速報編集部、突撃取材でございます。
こちら外観。看板の照明も落ちています。
でも店内にかすかに灯りが。奥に座っているおばあちゃんは確認!
「営業中」と書いてある。
ドアを開けると座っていた店主が振り返った。
店主:すみません。やきそばと餃子しか作れないんです。
編集部:大丈夫です。やきそばください。というか、お元気になられて良かったです。再開されたんですね!
店主:強盗にやられて大変やったんよー。
やきそばを焼いてもらいながら、強盗事件について聞いてみた。
編集部:あの夜、いったい何があったんですか?
店主:お客さんその一人だけやってね。ビールおかわりされて、取りにいったら後ろからゴン!
編集部:殴られたんですか?
店主:そう。後頭部をビールジョッキで。それで意識失って倒れて…気が付いたら警察と救急車が来てたんよ。
こちらが犯行現場。こんな優しいおばあさんを背後からジョッキで殴るなんて信じられん。
店主:それで病院運ばれてね。結局4ヶ月も入院してた。
編集部:4ヶ月も!?
店主:ほんまは3ヶ月で退院する予定やったんやけど、リハビリ中に転んで一か月延びてしもた。
編集部:でもお元気になられて良かったですよ。
店主:ありがとう。でも退院してお店にきたら警察の指紋取る用の粉みたいなので店中真っ黒で、それを綺麗にするのに一年もかかって、結局2年休業してしまったのよ。
なんと!そんな真相が!89歳の店主おひとりでさぞ大変だったことでしょう。どうやら2017年9月から営業を再開されたようです。
店主:2年も休んでますとね、そこら中のものが傷んで使えなくなるんです。エアコンも潰れて…この鉄板も錆だらけで使えなかったんです。
編集部:鉄板も全部磨かれたんですか?
店主:それが近所のお姉さんが「何してるの?」って来てくれて、私の代わりに薬剤買ってきて全部磨いてくれたんです。涙が出るほど嬉しかった。
大変な苦労をされた店主がこれからも優しさに包まれることを願います。
結局犯人は捕まらないまま。何かご存知の方は京都速報ではなく京都府警までご連絡お願いします。
さてさて、やきそばも完成間近。そばは2玉イン!
完成。お姉さんが磨いた鉄板大活躍。
この山盛りで800円!具だくさんで変わらず美味い!
おばあさん、焼きそばを焼き終えると休憩されます。※やきそば調理中に来店があると入店断っているそうです。理由は連続でやきそばを焼く体力がもうないからとのこと。
休憩なう。
ここで恒例、大とらの歴史トークの幕開け
それはおばあさんの波瀾万丈の人生。
時を遡ること60数年。
戦後の京都に駐留していた米兵相手に通訳の仕事をしていたご主人と洋裁の先生をしていたおばあさんが出会い結婚。
米兵が帰国した後、ご主人は通訳の仕事を辞めて祇園でクラブやバーを経営。
クラブは24時までしか営業できなかったので、深夜まで営業できるスナックを開業。
これが京都で最初のスナックだと言われています。その名は「赤い花束」。
当時の写真を見せていただいた。
お気づきだろうか?
ミニスカート(おばあさん作)のスタッフの後ろに、斜めの鏡。そう!カウンターの客席から見えるチラリズムです!
こんなアイデアを60年も前に思いつくとは、ご主人は天に才と書いて天才です(笑)
その後も経営は順調だったが、常連客の連帯保証人になったのが悲劇の始まり。
お金を借りた張本人は行方不明となり、借金6000万円を肩代わりすることになる。
借金返済のために祇園のお店を手放し【大とら】をオープン。ご主人と年中無休で50年働き続けついに借金完済。
ご主人が亡くなられた後も、訳あって店を離れている息子さんに店を任すその日まで、今も年中無休で独り店頭に立って(座って)らっしゃいます。
きっと私のような若造が想像できないような苦労を重ねてこられたことでしょう。丸い小さな背中に重みを感じてしまいます。
おばあさんと話していると自分ももっと頑張らな!と思ってしまいます。
恒例のお土産飴ちゃん。ごちそうさまでした。
いつまでもお元気で!
ちなみに年末年始も休まず深夜まで営業されるそうです。
凄すぎ。
おわり。
[店舗情報] 大(だい)とら
営業時間/17:00~27:00※変動の可能性あり
定休日/無休
住所/京都市下京区小泉町112-3
※一度にたくさん接客対応ができません。4名以上の来店は避けた方がいいでしょう。